私たちの想い

*私たちの想い*

 

実は、少し前まで、私は蓮根で和菓子を作ることなど考えてもみませんでした。しかし、今はそれが導かれたことに思えてなりません。

 

私には3人の子供が居ますが、一番下の子が高校の時、学校へ行く意味を見失い、卒業はできたものの就職をどうすれば良いのか分からない状態でした。

 

そんな時、ふと浮かんだのが、以前聴いた中村文昭さんの話でした。引きこもりの子が農業を通じて自分を取り戻すという内容です。

 

調べてみると、息子の居る同じ倉敷で蓮根農家が求人募集をしていました。社長さんのお話では、大変な仕事だから一度体験してから考えた方が良いとのこと。

 

どうかな?

 

農業はかなり厳しい仕事、果たしてあの子がやっていけるかな?と思いつつ、聞きました。意外にも「やってみたい」という返事。

 

体験が行われたのは6月のとても蒸し暑い日でした。蓮根を収穫するのは、作業に慣れた大人でも休み休み行うほど過酷な仕事です。

  

特に連島蓮根は良い品質を保つため、他の産地とは違い手掘りの割合がとても高いのです。

 

心配そうな周りの大人をよそに、黙々と身体を動かす彼。作業を終えて、どうだった?と聞くと「全然大丈夫」と、こともなげに。

 

社長さんは「若いのに根性あるなぁ」とその場で採用して下さいました。

 

それから二年、彼は真っ黒に日焼けし、大きく成長しました。そして、何よりも逞しく明るくなってくれました。

 

今は、社長さんはじめ、周りの先輩にとても良くしてもらって、少しずつ会社の戦力になりつつあると聞きます。

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そんな彼が作った蓮根を食べる度に思うようになったのです。

 

息子が作った、こんなに美味しい蓮根。社長さん方が愛情注いで一生懸命作り上げた蓮根。

 

この素晴らしい蓮根を、もっとたくさんの人に食べて欲しい、味わって欲しい。

 

縁あって息子が関わらせていただいた美味しい蓮根を、私の手で想いを形にしてたくさんの方に届けたい。

 

そして思ったのです。

 

そうだ!

 

食べることで少しでも元気になれる、幸せな時を過ごせるようなお菓子を作ろう。

 

心豊かに満たされて幸せの輪が広がっていく。

そんな素敵な循環になるようなお菓子にしたい。

 

不思議なことに、蓮根には深い意味があることも知りました。

 

蓮根は、仏教での教えにも出てきます。泥が汚い(濃い)所の蓮根ほど大きく綺麗な蓮の花を咲かせるのだとか。

 

泥は、現生での悩みや不安を表すのだそうです。

 

 

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仏様の台座が蓮の花弁で作られているのは象徴で、目の前の悩みや不安の中には、既に未来の素敵な姿が隠れているとのこと。

 

私自身、悩み苦しむ時を過ごしました。私は、この世に居ない方が良いのではないかという思いが頭をよぎることも度々。

 

そんな時、今のパートナーと出合い、支え合って乗り越えることができました。今は三人の子供達に、前向きな私の背中を見せていきたいと思っています。

 

連島のとびきり美味しく特別な蓮根。

 

蓮根の持つ意味も一緒に食べていただいて、舌も心も豊かになっていただきたい。

 

その想いで、日々心を込めて一生懸命作っています。

 

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